一九三七(昭和一二)年、「帝国秘密探偵社理事兼調査部長」なる肩書きの著者による高田止戈夫「誰にでも出来る結婚調査の秘訣」となると、あなたは金田一耕助かというほどの、調査項目の細かさ、緻密さである。本人の経歴、人物性行、素行状態、健康状態、趣味、嗜好、習癖、信仰、思想傾向、生活状態。相手方の家柄由緒、家族の動静、父母兄弟姉妹の状態、血縁者の死因、資産状態……。そんなものは本人に聞けばいいじゃないかと思っても、本人や近親者はいいことしかいわない、だから、親友や同僚や元の使用人を探しだして話を聞け、血縁者については戸籍を調査しろ、という。個人情報の保護、などという概念もなかった時代。本当におそろしい。もちろんそれは、大事な娘の一生を託すのだ、大事な息子の嫁(というより大事な跡取りを産む女)なのだと思えばこその親心、だったのであろう。若くして死んだ詩人の金子みすゞのように、夫から性病をうつされて悲惨な結婚生活をおくった人もいた以上、結婚調査が必要なシチュエーションがあったことも理解できなくはない。しかし、血縁者の死因まで調べあげるような結婚調査が、この国の優生思想を形づくり、差別の温床となってきたこともまた事実なのだ。
ウブの祝いの特徴は、木綿の帯が妊婦に贈られることにあった。とりわけ実家の親からもらった帯には呪力がこめられていた。変わったやり方では、夫のふんどしを帯の代わりに用いたという土地もあった。この風習の基本は、胎内に生命が宿ったことを正式に確認することにある。オビをしめることで、生まれてくる子の生存権がはっきり主張されたのであり、帯はウブに通じている。生活の知恵として、この時期にお腹を保護するのである。これを帯祝いと称したが、これはウブ祝い、つまり産むことの祝いがあるからで、ウブ→オビという語呂合わせによっているという説である。沖縄では、聖地である御嶽のいちばん奥まった部分をウブとよんでいる。奄美群島の阿室では、ウブには神木がなくてただ白い砂を敷いてあった。毎月の一日と十五日に、七歳から十五歳までの子どもがそこに砂を敷く役をつとめたという。ウブの地面の下には古い骨がたくさん埋まっているといわれていた。ところによっては同じ場所をオブともいい、中央は珊瑚礁の石で区画している。ウブとオブは同音であり、混同しやすかったのだろう。
誰でも興味がある話には、上半身が前のめりになる。身を入れてよく聞くことを「傾聴」というが、まさに身体を前に傾かせることで、相手に興味があるというサインを送ることができる。お手本はお笑い芸人だ。相手の前で背筋を伸ばして座ってうなずいているだけでは、「もっと話を聞きたい」という気持ちは伝わらない。積極的な心を前傾姿勢で表そう。マンガなどで、いばっている人やツンとすました人は、あごが上を向き、ふんぞりかえった姿勢で描かれることが多い。実際、あご角度が上に20度上がると傲慢に、20度下がると相手を疑うような目つきになるのだ。上10度では自信に満ちた雰囲気、下10度は受け身の姿勢が感じられる。まずは誠実でさわやかな角度の位置を鏡で確かめ、状況に応じて10度の範囲で使い分けよう。
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